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惑星 木星について(裁判官)

 インド占星術の惑星で木星には、「裁判官」という意味があります。

 裁判官について、面白いインドの民話をご紹介します。

 4人共同で綿の商いをしていた商人が、綿をネズミから守るために猫を飼うことにしました。その猫の4本の足は、それぞれ4人の商人が持ち主となりました。あるとき猫が1本の足にケガを負って、その足の持ち主である商人は手当てをしてあげます。その後、商人たちが留守のあいだのことです。猫がカマドのそばを通ると、運悪く足に巻いてあった布に火がついてしまいました。猫はあわてて綿の倉庫に逃げ込み、倉庫にあった綿に火がうつって、綿はすべて燃えて灰になってしまいました。猫はなんとか命だけは助かりました。

 倉庫に戻ってきた商人たちは、ケガをした足の持ち主である商人をののしって、とうとう法廷に持ち込まれることになりました。ケガをしていない足の持ち主の三人は言います。「そもそもこいつが油をひたした布を猫の足にまいたからです。火はその布から燃えうつって、倉庫にあった綿を全部灰にしてしまいました。ですから、この損害はすべてこいつが償うのが当然です」

 ケガをした足の持ち主の商人は言います。「猫も火傷で苦しんでおります。それを見るとわたしはわかいそうでなりません。お裁きにしたがうだけでございます」

 それを聞くと裁判官は、しばらく黙って考え込んでから言いました。「あらためて聞くが、猫は一本の足だけケガをしていたのだな?」 「そのとおりでございます」 ケガをしていない足の持ち主の三人が答えました。

 それを聞いて裁判官は言いました。「よろしい。ということは、猫はケガをした足では歩けなかったはずだ。だから、残りの三本の足で歩いてカマドのそばへ行かなければ、火もつかなかっただろう。だから、ケガをしていなかった三本の足の持ち主にこの損害の全責任がある。よって、三人は、ケガをした足の持ち主であるこの男の損害を償うとともに、猫の買い値の4分の1も支払うよう申し渡すぞ」

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