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かたちあるものとないもの

 かたちのあるものは、いつかなくなります。人間もかたちあるものとして生まれたからには、死ぬときがきます。

 たとえば、会社の肩書もかたちあるものですが、いつまでもこの肉体を所有していることができないのと同じで、年をとればいつかは社会的な地位も手放すときがきます。

 私たち人間がこの世で不幸であると感じる原因は、快楽であると、と言われています。快楽こそが追求すべき理想である、と思い込んでいるところです。

 実は人間が幸福になろうとして手に入れたものや、こうすれば幸福になれると思っていることというのは、それにとらわれたり、しがみついたり、一生懸命それを維持しようとするために、苦しくなってくることもある、ということです。

 では、私たち人間はどこへ向かえばいいのでしょうか。快楽を目標にすることが不幸の原因であるとしたら、カルマ・ヨーガという考え方には、こう書かれています。「人類の目標は知識です」。

 人間は考える動物ですし、感情の動物なので、かたちある物質だけでは満たされることはない、ということなのでしょう。

 ある人は、物事をあまり深く考えることもなく、一生を過ごし、死んでいくかもしれません。なんとなく疑問には感じていても、物事の本質について気づかないふりをしている人もいるかもしれません。

 かたちあるものは、いつかはなくなるけれど、かたちのない知識は一度手に入れてしまえば、誰かに奪われることもありません。それはずっとあなたのものになるのです。

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