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語感力は場をも制す

  「私って、嫌われちゃうタイプなんですかね・・・」と悩んでいる人がいました。

 特別何か失敗をしたわけでもないのに、相手との関係がうまくいかず、周囲も困っている、という状況のようです。

 そこで、こんなとき役に立ちそうなお話をご紹介しましょう。

 「ことばの語感力は、場をも制します。例えば、女性上司が部下を激励するシーンで、『みんな、頑張ろうね』と声をかけるのと、『目標を達成するよ。わかった?』と声をかけるのでは、その場の雰囲気がかなり違ってきます。『みんな』、『頑張ろう』は、母音が響く訓読みのことば。母音は自然体で出す音韻のため、親密感を強く呈しています。
 これに対し、『目標』、『達成』は、子音が響く、音読みことば。子音は息を破裂させたり、歯で擦ったりして出すいわば威嚇音なので、緊張感を呈します。特にタッセイは、舌を叩きつける『タッ』の音に、息の疾風『セ』を追随させるため、優しい女声で発音しようとも息のパワーが萎えません。営業マンの尻を叩くのに、かなり適した語感と言えます」

 ちょっと長くなりましたが、黒川伊保子さんの本からのお話しでした。

 「私って、嫌われちゃうタイプなんですかね・・・」と悩んでいた人も、自分では丁寧に話しているつもりで選んでいた言葉の一つ一つが、相手にとっては冷たく感じたり、距離を感じさせたりしていたのかもしれません。話し方にしても、あまりにも淡々としているため、もう少し感情を込めるとか、抑揚をもたせることも大切かもしれません。相手と話すときに使う言葉は、できるだけ平たく、優しい単語を選ぶようにできれば、聞く相手が受ける印象もかなり良くなるのではないでしょうか。

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